令和2年10月16日に例年通り疾病構造調査を実施しましたが、今回は新型コロナウイルス感染症の影響下で例年とは違った結果が出ています。
アンケート回答状況(表1)
今年度の有効回答率は診療所、病院ともに近年で最も多かった。
患者数(表2)
診療所は今回12933人、令和元年度15184人、平成28年度17782人、平成26年度24069人と年々減少傾向にありますが、本年度は前年度より15%減少しています。病院でも1910人と前年度より13%の減少があり、平成27年度は2141人であった。病院入院数は543人、令和元年が557人、平成28年561と変化なし。
1医療機関当たりの平均患者数(表3)
診療所では59.3人で前年度より20%と大きく減少していた。近年減少傾向である。病院外来は32.4人で前年度は40.0人であった。入院数は今回9.2人で前年度は10.1人であった。
部位別分類(図1~4)
前年度とほぼ同じ比率であった。診療所では耳と鼻・副鼻腔が81.51%を占めており口腔咽頭がやや減少して耳・鼻副鼻腔が微増していた。病院外来では今回も口腔咽頭が最多で以下耳、鼻副鼻腔、喉頭と続いている。病院入院の部位別分類は前年度と変化なし。
疾患別分類(図5~8)
診療所では急性炎症の占める割合39.19%と前年度より減少していた。前年度は48.92%であった。慢性炎症は23.43%であり前年度の22.68%と比較すると微増している。アレルギー疾患は今回20.77%で前年度の16.31%より増加している。病院外来では機能性疾患が最多で1%の微増、急性炎症、慢性炎症共に1-2%の減少であるが、あまり変化はなかった。病院入院では新生物が多く42.36%であった。これは前年度よりも6.65%減少している。
全患者では、急性疾患が7.29%減少、慢性炎症が0.91%増加、アレルギー疾患が3.68%増加であった。
診療所で見ると耳部では慢性炎症が最も多いが機能性疾患、急性炎症と続いた。前年度は慢性炎症、急性炎症、機能性疾患の順であった。鼻副鼻腔でも急性炎症が減少してアレルギー疾患の比率が増えていた。口腔咽頭でも急性炎症は同様に減少している。
病院外来をみると耳では機能性疾患、慢性炎症、急性炎症の順であった。機能性疾患は診療所の2.2倍で、急性炎症は36%であった。鼻副鼻腔では慢性炎症、アレルギー疾患の順で急性炎症は診療所の5.8%であった。大体前年度と同じ傾向であるがどの疾患も急性炎症が減少している。病院入院で見ると、耳では昨年同様に機能性疾患が慢性炎症より多い。鼻副鼻腔では慢性炎症が新生物より多く、口腔咽頭、喉頭その他の部位では新生物が多いが例年と同じである。
年齢構成(図13-16)
診療所では65歳以上と10歳未満が多いが、0-4歳は13.56%で前年度の13.68%とあまり変化がない。5-9歳ではむしろ少し増えている。75歳以上は増加している。病院外来では診療所ほど0-9歳は多くなく、少し減少している。病院入院では前年度とあまり変化はない。
全体のグラフを前年度と比較した場合年齢構成比率はほとんど変化を認められませんでした。
部位別年齢構成(図17-21)
診療所では耳は老年者と年少者が多いが0-9歳が15%で年々減少している。75歳以上は31.73%で徐々に増加している。鼻副鼻腔でも年少者が多いですが、75歳以上が増加しているとは言えません。
部位別年齢構成において前年度と比較して大きく変化のある年齢構成は認めませんでした。
これは、病院外来、病院入院でも同じです。
疾患別年齢構成(図37-42)
全患者をみると、急性炎症は34.21%と前年度の41.55%と比較して減少している。年齢別では0-9歳と7歳以上では比率では前年度より増加しており、10-74歳では全年齢でやや減少傾向である。慢性炎症も0-9歳で減少はなくやや増加している。アレルギー疾患は18.23%で前年度の14.55%より増加しているが、0-9歳は比率がやや減少しており、10歳以上の年齢で増加をみる。
この傾向は診療所でも同じである。
病院外来では急性炎症、アレルギー疾患では前年度と比較して0-9歳で減少している。
病院入院は人数が少なくパターンの解析は難しい。
ブロック別比較
部位別分類
部位別ではブロック間に差はありますが年度によって差がありきまたパターンはない。
疾患別分類
急性炎症はB10大阪市東部前年度に同様に最多であった。慢性炎症はB10が前年度同様に最小である。アレルギー疾患は毎年一定ではない。機能性疾患、新生物にもパターンはない。
年齢構成
0~4歳を比率順にみるとB7泉州16.53%,B2三島、B8大阪市北部で最下位B5南河内9.69%である。
75歳以上を比率の多い順に並べるとB5南河内26.53%、B4中河内、B11大阪市南部で最低がB6堺15.35%である。0-4歳の比率が75歳以上より多かったのはB7泉州のみであった。
ブロック別に見た疾患別年齢構成(表5)
ブロック間での一定のパターンは毎年認められないが、急性炎症で0-4歳の割合がB4,B7,B8で30%を超えた。昨年度は30%を超えたブロックはなかった。
慢性炎症、アレルギー疾患、機能性疾患、新生物で特定の傾向はない。
滲出性中耳炎
1.耳の急性炎症及び慢性炎症のうち、滲出性中耳炎の占める比率(図64)
本年度は、全患者38.20%、診療所40.59%、病院外来15.70%、病院入院20.00%であった。
令和元年度は、全患者38.71%、診療所41.60%、病院外来15.73%、病院入院25.00%であった。本年度は入院患者に低下がみられたが、診療所、病院外来での比率の変化はない。
2.年齢構成
診療所では75歳以上(36.53%)が多く、次いで5-9歳13.90%、0-4歳10.45%であるが前年度は0-4歳15.20%、5-9歳18.78%で本年度は0-9歳が大きく減少していた。
病院外来は前年度53人、本年度35人と少なく年齢比較はむつかしい。
診療所、ブロック別の比較
ⅰ)耳の急性炎症及び慢性炎症のうち、滲出性中耳炎が占める比率(図69
今回はB4中河内の48.36%が最も多く
ⅱ)年齢構成(図70-1~70-11)
本年度はB7で0-4歳が75歳以上を上回っていた。前年度はB2で平成30年度はB1B2で0-4歳が75歳以上を上回った。
ⅲ)年齢構成からみたブロック別の比較(図71-1~71-16)
本年度は0-4歳ではB7が27.87%で最高であった。75歳以上ではB5南河内が55.56%で最高であった。