第31回疾病構造調査報告


更新日:2012年3月15日|投稿日:2012年3月7日|カテゴリー:疾病構造調査報告

注.サイト移行で過去情報を再掲載した為、投稿日がずれています。

 

 大阪府耳鼻咽喉科医会では、昭和56年から毎年、日本耳鼻咽喉科学会大阪府地方部会の協力を得て疾病構造調査を実施しています。近年我が国では人口の高齢化と幼少児の減少が進んでいます。この人口構成の変化が耳鼻咽喉科患者の受診動態にも現れてきており、この調査分析が将来の耳鼻咽喉科医療の対策に寄与するものと考えています。

 

 平成22年10月15日(金)に大阪府下の耳鼻咽喉科全診療所と大学病院を含む全病院を対象として、第31回疾病構造調査を実施しましたのでその概略を報告いたします。

 

 調査依頼数は570件、有効回答数は278件で回答率は約49%で、全患者数は23459人でした。疾患の部位別分類では鼻・副鼻腔が最も多く次いで耳、口腔・咽頭、喉頭の順でした。(図1)

 

 疾患別分類では急性炎症、慢性炎症、アレルギー、機能性疾患の順です。(図2)

 

 年齢構成では70歳以上の高齢者の割合が最も多く、次いで0~4歳、5~9歳までの乳幼児が多く青年層は少なく50歳以上で次第に増加します。(図3)

 

 疾患別の年齢分布では急性鼻炎、急性中耳炎、咽頭炎などの急性炎症は0~4歳の乳幼児が多く(図4)、対して慢性副鼻腔炎、慢性中耳炎などの慢性炎症は70歳以上の高齢者で多くなっています。(図5)


 

 アレルギー性鼻炎で代表されるアレルギー性疾患は学童期と高齢者の割合が多くなっています。(図6)

 

 難聴やめまいなどで代表される機能性疾患は70歳以上が圧倒的に多く40%近くを占めました。(図7)

 

 各疾患の割合は例年と同じ傾向を示しました。ただ以前に比べると慢性疾患の割合が減少し、急性疾患が増えています。また日常生活のクオリティーオブライフに直結するアレルギー性鼻炎や機能性疾患の割合は徐々に増加しています。

 以前の蓄膿症の治療を行う診療科のイメージとは違う現状が明らかになっています。

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